2025.08.25
全国的に厳しい暑さが続いています。家庭の電気代が気になるという人も多いのではないでしょうか。家庭や地域で「クールシェア」を行うことで、エアコンの使用量を抑えながら熱中症を防ぐことができるでしょう。「クールシェア」の意義について考えます。
クールシェアとは、夏の暑い日に、涼しい場所を共有してエアコンの使用を抑える取り組みです。夏場の気温が高い日は、エアコンによる電気の使用量が、家庭全体の使用量の約半分を占めることもあります。エアコンの使用方法を見直すことで、涼しさを感じながら省エネを実現することができます。
例えば、家庭内では、使用するエアコンの台数を減らすクールシェアがおすすめ。必ずしも1つの部屋に集まらなくても、エアコンを使用する台数を減らすことで、省エネ効果が生まれます。扇風機やサーキュレーターを併用したり、カーテンやブラインドを閉めて日差しや熱をシャットアウトしたりすると、省エネ効果がさらに高まります。
地域によっては、図書館や公民館などの公共施設を「クールシェアスポット」として利用できる場合があります。こうしたスポットには、ベンチやウォーターサーバーなどが用意されていることもあり、熱中症の対策に役立てられています。また、リモートで働く場合には、コワーキングスペースを利用することもクールシェアの一環だと言えるでしょう。
外出先で近くのクールシェアスポットを探したい時には「シェアマップ」が便利です。「シェアマップ」は、現在地などを入力すると近隣のクールシェアスポットを表示することができます。夏場は、長期休暇などで旅行に出かける人も多いでしょう。慣れない場所で体調を崩さないように、少しでも熱中症の危険を感じた場合には、近くのクールシェアスポットに駆け込むようにしましょう。
クールシェアには、エアコンの使用を抑えて家庭の電気代を節約する効果があります。しかし、社会全体で見ると、電気代の節約にとどまらない意義があると考えられます。
暑さが厳しい夏の昼間は、一年の中でも電気の使用量が突出して多い時間帯ですが、電気の需要は常に変動しており、春や秋などは夏場に比べて電気の使用量が少ない傾向にあります。しかし、電力会社は、電気の使用量のピークに応じて発電所を整備するため、電気の使用量があまり多くない時期には、そうした発電所は稼働せず、いわゆる“開店休業”の状態になってしまいます。ところが、そうした状態であっても、発電所を維持するコストは私たちが支払う電気代として回収されます。
もし、クールシェアなどの取り組みによって、社会全体の電気の使用量のピークを下げることができれば、こうした稼働率の低い発電所を減らすことができるでしょう。それによって、めったに稼働しない発電所を維持するコストを節約できれば、結果的に電気代そのものをコストダウンできるかもしれません。クールシェアのように、社会全体で電気をより効率よく使う仕組みが広がっていくことが望まれています。