2025.06.25
今年6月から、職場における熱中症対策の強化が義務付けられました。これは、熱中症の重篤化を避けるために、 一定の時間以上、高い気温の中で作業を行う場合に必要な措置を求めるものです。自分や仲間の命を守るため、どのような内容なのか知っておきましょう。
熱中症を重篤化させないために、労働安全衛生規則が改正され、今年6月1日から施行されています。気温28℃または31℃以上の環境で1時間以上、あるいは1日あたり4時間以上の作業を行う場合、作業者が熱中症になってしまったときの連絡体制や対処方法を求めるものです。
作業者が熱中症になった場合、あるいは熱中症の疑いがある場合、具体的には次のような対処方法が義務付けられます。
①作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
(参考:厚生労働省 職場における熱中症対策の強化について)
2024年の熱中症の被害は深刻で、5〜9月の6ヶ月間で9.7万人が救急搬送されました。熱中症による死亡者数は120人と、 過去最多になりました。このように、熱中症の被害は年々深刻になっており、被害の拡大を防ぐための対策が求められてきました。
2025年の夏も猛暑になることが予想されています。前述のように、規則で求められる対策をとっていたとしても、職場や家庭で誰かが熱中症になってしまうかもしれません。
万が一、熱中症になってしまった人がいたら、次のような応急処置をして、症状を悪化させないようにしましょう。
まず、涼しい場所へ移動させ、衣服を緩めて体を冷やします。太ももの付け根や脇の下など、大きな血管が通っているところに氷が入った袋を当てて冷やします。うちわや扇風機の風を当ててあげることも効果的です。
次に、自分で水分が取れる場合には、水分や塩分を取るようにしましょう。このときは、水ではなく経口補水液など、電解質が入った飲み物が適しています。
これらの処置を行なっても症状が改善しない場合には、医療機関を受診しましょう。なお、熱中症になって意識がない場合には、何よりも先に救急車を呼びましょう。
普段元気な人でも、その日の体調やコンディションによって熱中症になるリスクが高まります。適切な処置と事前の対策によって、熱中症の深刻な被害を防止しましょう。