2025.05.26
エネルギーを社会全体でより効率よく使うために、電気の使用パターンを変化させるデマンドレスポンス(DR)。将来的には、お湯を沸かすエコキュートも、DRに対応できるように進化していく見通しです。エコキュートの「DRready要件」の検討状況をリポートします。
DRready要件とは、家電などを遠隔でコントロールして、電気の使用パターンを変えるために必要な機能を指します。では、なぜ遠隔制御をしてまで電気の使い方を変えなければならないのでしょうか?
その答えは、社会全体の電力システムが変わりつつあるからです。今、太陽光発電や風力発電などの導入が増えています。こうした再生可能エネルギーの発電所は、天気などによって出力が増減します。電気は在庫することが難しいため、発電された電気はリアルタイムで使用しなければなりません。そのため、発電のパターンに合わせて電気の使い方を変化させることで、社会全体でより効率よくエネルギーを活用できるようになるのです。
例えば、天気がよい日中、太陽光発電がたっぷりと発電している時に電気を使えば、太陽光発電の電気を無駄なく活用できます。そこで、これまで夜間にお湯を沸かしていたエコキュートの使い方を変えて、昼間にお湯を沸かすようにすれば、太陽光発電の電気をタイミングよく使えるようになります。
国は、そのために必要な機能をDRready要件として整理することで、エネルギーの有効活用を目指しています。
昨年9月に開催された国の有識者会議では、エコキュートのDRready要件について検討が行われました。それによると、2030年ごろを目標として、DRready要件を備えたエコキュートの製造などを求める考えが示されました。
つまり、2030年代には、DRready要件を備えたエコキュートが販売されるということです。お湯を沸き上げる時間を柔軟に変えられるような機能が標準搭載されるかもしれません。
有識者会議では、エコキュートのDRready要件を今後、さらに議論していくとしています。どのような機能が求められるのか、発表され次第、改めてリポートしていきます。社会の変化に合わせて、エコキュートなどの生活設備も進化を続けています。
(参考:経済産業省・資源エネルギー庁 ヒートポンプ給湯機のDRready要件(案))