2024.11.25
今までの太陽光パネルとはまったく違う、次世代型の太陽電池として「ペロブスカイト太陽電池」が注目されています。ペロブスカイト太陽電池とはどのようなものなのか、解説します。
太陽光パネルというと、黒くて四角い板のようなものが一般的です。これは、専門的な言葉で言うと「シリコン系太陽電池」と呼ばれます。シリコンはケイ素と呼ばれ、原子記号は「Si」です。太陽光パネルのカタログなどに「Si」と書かれているのを見たことがある人もいるかもしれません。
それに対して、「ペロブスカイト太陽電池」はシリコンではなくヨウ素という成分を原料とします。もともと「ペロブスカイト」という言葉は特定の結晶構造を指します。ヨウ素などによる特定の結晶構造によって発電するものが、ペロブスカイト太陽電池なのです。
ペロブスカイト太陽電池は、一般的なシリコン系太陽電池と違って、さまざまなものに塗布することができます。そのため、フィルム状にしたり、壁面や窓などの垂直な場所でも活用できるのです。また、軽量であることから、ビルの壁面や柵、塀など、これまで太陽光パネルを設置できなかった場所にも搭載できるようになると期待されています。
遊休地の少ない都心ではこれまで、太陽光パネルを設置するスペースが少なく、太陽光発電の導入が進みにくい環境にありました。この先、もしペロブスカイト太陽電池が簡単に導入できるようになれば、ビルの屋上や壁面、フェンスなどでも発電できるようになるため、より多くの再エネ電気を得られると考えられています。
ペロブスカイト太陽電池は、室内や曇りの日などの弱い光でも発電できるとされています。そのため、これまでの太陽光パネルではできなかった使い方が広がるでしょう。LED電球や蛍光灯の電気で発電できれば、室内の電源を自家消費できるようになるかもしれません。そうなれば、大幅な省エネルギーにつながることでしょう。
このように、多くのメリットがあるペロブスカイト太陽電池ですが、まだ本格的な実用化はスタートしていません。実用化にあたってどのような課題があるのか、次回の記事で詳しく解説します。