2025.02.25
住宅用蓄電池は、太陽光発電の電気を貯めたり、停電時の電源として活用したりすることができます。それに加えて、電気の安定供給に役立つ可能性があることが注目されています。蓄電池の新たなポテンシャルについて深掘りします。
住宅用蓄電池のように、何度も充電したり、電気を取り出したり(放電)できる蓄電池のことを「二次電池」と呼びます。この充放電機能があることによって、蓄電池は、太陽光発電からの電気を貯めて必要なときに使い、停電時には非常用電源としても活用できるのです。電気代の節約や停電時のバックアップに役立つことから、蓄電池を導入したいと考えている人もいることでしょう。
近年、そうした機能に加えて、蓄電池が電気の安定供給に役立つ可能性が注目されています。蓄電池の充放電機能を使うと、電気の使用パターンを変えることができます。電力会社の電気が足りなくなりそうなときに、蓄電池からの電気を優先的に使うことができれば、社会全体として電気をより効率的に使用できるようになるでしょう。例えば、老朽化した古い発電所を使い続けたり、使用頻度の少ない大規模発電所を新たに建設したりするコストを節約できるかもしれません。
このように、電気の需要パターンを変えることを「デマンドレスポンス(需要応答)」と呼びます。従来、電気は使用する分だけ発電するという考え方が主流でしたが、よりスマートな電気の使い方として、発電量に合わせて柔軟に使用パターンを変えるというスタイルにシフトしつつあります。
デマンドレスポンスについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください(参考:デマンドレスポンスって何?エコキュートが持つ新たな可能性 | 株式会社ユノカ総合電設のエコロジーブログ)
こうした背景から、国は、住宅用蓄電池のデマンドレスポンスについて勉強会を開催しています。蓄電池によるデマンドレスポンスにどれくらいのポテンシャルがあるのかというと、ざっくりとした試算で約300万kWhとされています。一般的な1世帯あたりの使用電力量は約4000kWhですので、単純に計算すると約750世帯分のポテンシャルがあることになります。
その一方で、住宅用蓄電池を社会のために活用するには、いくつもの課題があります。蓄電池をネットワークに接続する際には、情報セキュリティなども万全にしておかなければなりません。国の勉強会では今後、住宅用蓄電池でデマンドレスポンスを実施するために必要な「DR ready要件」などを整理するとしています。新しいエネルギーの使い方に向けた検討に関心が高まっています。